白竹木材株式会社

愛知県碧南市の木造建築請負・民家再生・リフォーム

お客様との出会い~完成までー民家再生ものがたりー

お客様との出会い~完成までー民家再生ものがたりー

お客様との出会い~完成までー民家再生ものがたりー

愛知県安城市 T邸

DATA
築80年
延べ60坪
夫婦 2人
2008年6月完成

たまたま雨だった ー当社内覧会での出会いー

それは、2007年2月の当社「民家構法自然素材の家-展示場-」の内覧会の日でした。
内覧会の日としては、あまり歓迎されない雨の日にT様ご夫妻はご来場されました。普段は教鞭をとられ、お休みの日にご両親より引き継がれた農業をやっていらっしゃったため、雨の日しかお体が自由にならず、「今日はたまたま雨だったので来ました。」とのことでした。

今にして思えば、当社にとっては運命的な出会いであったと思います。

他社様ともお話はしてみえると最初から言われ、当社としては、そういったお仕事は今までほとんどやらせていただいていなかったのですが、是非やらさせていただきたい民家再生であり、何かに引き込まれるように毎週深夜までの打ち合わせが続きました。

他社様とは違い、全て漆喰全て無垢材の仕上げ 水屋箪笥等家具も当社で製作できる事が気に入っていただけたのか、当社がやらさせていただけることになりました。

ご夫妻の民家に対する思いは、たいへん強く、プランニングから仕上の細部まで検討が加えられ、お二人の

「雑誌に載るような家を!!」

との思いがひしひしと伝わって来ました。

三州瓦の産地を再認識

幼い頃より、近所で瓦の白地を天日干し(昔は家内工業のようにそこここで釜入れ前の素地を作っていたようです)しているような環境で育ったために逆に瓦の産地ということを意識することはあまり無かったのですが、工事に使わせていただく瓦は当然いぶし瓦です。

また、奥様は鬼瓦に大変ご興味を持っておられ、日本民家再生協会東海地区(当社登録事業者)のイベントで会員の皆さんをお連れした鬼師さんが近くにいらっしゃったことを思い出しお話をさせていただきますと、是非伺いたいと、早速鬼師「鬼百」様のところに奥様をお連れすることになりました。

いろいろと工房内を見られた上、鍾馗さん大きな鬼を購入されました。
その時購入された鬼は今、玄関を入った暖炉のある吹抜に飾られ、何とも民家にぴったりの風格を示しています。

やはり民家は職人技の結晶

木工事は、地元の大工さんにお願いしました。棟梁は、現在(2007年)、現場仕事はされていないものの、なお鋭い目を光らせて采配をふるっていただいており、安心して仕事を進めていただくことができました。

民家において重要な役割を果たす建具は、なるべく既存のものを使わせていただくようにしましたが、不足のものは当社のストックより選び、建具職人さんに必要な加工を施していただきました。

それでも揃わない特別なもの、例えば玄関の大戸、その内側の網戸兼障子戸、ステンド付大戸等は、新たに製作していただき、当社にて色合わせをしました。

こういったことができるのも、建具職人さんの高度な技術と豊富なストックのおかげだと思っています。

家具工事は、幸い自社の工房で製作していたため、古材にてバーカウンター、堀り炬燵等を作らせていただくことができ、全体に統一感のあるものに仕上がったと思います。

左官工事は、民家再生では常に大きな比重を占める職人さんでもあり、今回も内外の漆喰塗がメインの仕事となりました。
今回では、くどがあった付近のすすけた壁の上塗がかなり大変だったようです。

お施主様の思いを受けて

最近は民家再生が見直されつつあるとはいえ、大きな民家の改修に踏み切られることはかなりのご決断が必要だったと思われます。

ご決断の要因は、ご両親への思いとご自分が育たれた家への愛着民家への評価だと思います。

T様ご夫妻は民家再生への思いが強くあられ、いろいろと勉強もされてみえましたので、ご要望も明確であり、またこちらが教えていただき勉強になることも多々ありました。

ステンドグラスの工房を紹介させていただくと東の明かり取り窓にご主人のご趣味のシュンランを御主人の原画でやらせていただくことになり、また、奥様はバーカウンターのペンダントと玄関とホールの間の扉にはめ込むステンドを注文されました。

おかげ様で和風尽くめではなく遊び心のある空間にさせていただきことができました。

玄関の土間に暖炉をご希望でしたので、土間の冷えが心配でしたが、完成後の内覧会をさせていただいた時は、暖炉だけで、暑さを感じるほどでした。冬場でも寝る時には、暑いくらいで扇風機を使うこともあるとのことでした。

ほかのお客様をT様邸へご案内して意外だったことは、民家にお住まいの方が入られるなり、びっくりされるということでした。
民家がすばらしいので、何も手を加えているつもりはないのですが、同じ民家にお住まいの方は、どうしたらこうなるのかわからないというようなことを言われます。

当社にとって、大規模な民家再生は、T様邸が初めてでしたので、いろいろな思い入れもあり、民家のすばらしさを再認識したものとなりました。

設計・施工監理
白竹木材株式会社 代表取締役 棚橋みさ子

お施主様の声

着工から完成までは、6ヶ月かかりました。相談してからは、1年。
再生してよかったと思うことは、建物が残り、文化や風習を受け継いでいけることです。家の歴史を守り、再生したよかったと思います。

T様邸 民家再生の工程は、こちらから → 民家再生の工程