木材の月齢伐採・葉枯らし乾燥・天然乾燥って知っていますか?
日本では、林業の衰退が深刻化しています。
適正な管理がされなくなった「放置林」が増えて、森林の荒廃が進み、山地の崩壊、土砂崩れなどの災害を引き起こす原因となっています。
最近では大雨による災害も多く発生しています。大雨が降れば、洪水、土石流などが発生し、多くの命も失われています。森の荒廃により海洋資源にも影響が出ています。
林業の衰退は、国土全体の問題でもあります。林業の再生は、避けては通れない課題となっている中で、様々な動きがあります。月齢伐採・葉枯らし乾燥・天然乾燥は、30年ほど前までは、日本各地で行なわれていたそうです。
月齢伐採
野菜や果物などに「旬」があるように木にも「伐り旬」があるそうです。
地方や樹種によっての多少の違いはあるが、秋~冬にかけて冬目が形成される時期の方が良い木材になると言われています。
月の満ち欠けのよって、潮の満ち干き、人の出産、サンゴの産卵など、地球と地球上の生物は影響を受けています。
月齢伐採は、月のリズムに合わせ、最適な時期に伐採することで、腐りにくい、カビにくい、割れにくい、狂いにくい燃えにくい特性が得られるとされています。
満月~半月(下弦)~新月~半月(上弦)~満月の周期で満月翌日~新月の期間に伐採します。
下に絵を書いてみました。
木材が本来持っている長所(色艶、粘り強さ、耐久性、防犠牲、香り、セラピー効果)を最大限に引き出すことが最近の調査で確認されつつあります。
葉枯らし乾燥
葉枯らし乾燥とは、伐った木を葉をつけたまま山に数ヶ月以上寝かせておき、葉から木の水分を飛ばして乾燥させる方法です。葉枯らしを行なうことでフェノール成分(防カビ、防腐の成分)が作られて、カビや腐りに強い木材となるようです。
葉枯らし乾燥により木の重さがスギの場合だと、丸太の重量が焼く半分以下まで減り、山から製材工場までの運搬エネルギーを最小限にできます。
天然乾燥
製材工場で仕上げサイズより大きめに製材したものを機械で乾燥させるのではなく、半年~1年かけて自然に乾燥させます。急激な乾燥にはならないので、不要な割れの発生を防ぐことができます。
メリットばかりを書いていますが、機械を使った林業に比べて、製材し製品として住宅建材として使えるまでには、時間がかかります。時間がかかる=コストがかかるため、家を建てる資金に余裕がないとなかなか難しいでしょう。
また、現時点では、日本のスギ、ヒノキにおいて明確な科学的結論は出ていませんので、そのあたりもお客様ご自身で、判断していただくことになります。
現在、住宅業界では、「ウッドショック」が深刻な問題になっています。
住宅の柱や梁は、おもに外国材である米松を使っている会社が多いのですが、2021年3月ごろから輸入が滞り、需要が逼迫し、木材の高騰につながっています。
外国材がダメなら、国産材を使えば良いのではないか?とは行きません。
国内の林業は、ここ20年くらいようやく回復の兆しが見えて来たところです。
継続的な供給を行なうには、植樹も必要となって来ます。木の成長を待たずに伐採ばかりを続けていれば、いずれ資源が枯渇します。
新型コロナウイルス感染拡大も今回の「ウッドショック」が起きてしまった要因の1つでもあります。
さらに木材の確保など、厳しくなりそうですが、1棟でも多くの民家を残すために今後も民家再生をおススメしたいと思います。
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